導入事例

アクセス集中時も安定したWebメディア運営へ 扶桑社のAWS基盤改善をNHN テコラスが支援

株式会社扶桑社導入事例
お客様の課題
  • ・長期にわたり運営してきたWordPressサイトで、表示の重さやサーバーエラーが課題になっていた
  • ・アクセス集中時にデータベースがボトルネックとなり、サイトダウンにつながるリスクがあった
  • ・アクセス増加が見込まれるタイミングでは、事前の手動スケールアップが必要だった
課題解決の効果
  • Amazon Aurora Serverless v2への移行により、負荷に応じてスケールしやすいDB基盤を整備
  • ・ステージング環境での負荷試験を実施し、本番移行前に性能面の確認を行ったことでスムーズな移行を実現した
  • ・アクセス集中時の事前対応負荷を軽減し、Webメディアの安定運用を支える体制を強化

株式会社扶桑社様は、雑誌・書籍・ムックの発行をはじめ、ライフスタイル、ファッション、料理、小説など幅広い領域でコンテンツを展開する出版社です。紙媒体で培ってきた編集力を活かし、Webメディアを通じた情報発信にも取り組んでいます。

同社が運営するファッション・ライフスタイル領域のWebメディアでは、WordPressを活用し、記事や特集、ビジュアルコンテンツを継続的に発信しています。一方で、長期運営に伴うデータの蓄積やアクセス集中により、表示速度や安定稼働に課題が生じていました。

NHN テコラスは、同社のAWS基盤の運用やデータベース改善を継続的に支援してきました。ここ最近では、アクセス集中時にデータベースがボトルネックとなる課題に対し、Amazon RDSからAmazon Aurora Serverless v2への移行を実施。負荷変動に対応しやすいWebメディア基盤の実現を支援しています。

長期運営のWebメディアに求められた、安定したサイト基盤

扶桑社様が運営するWebメディアは、10年以上にわたりWordPressで運営されてきました。記事や画像、関連データが蓄積されるにつれてサイト規模が拡大し、表示速度や安定稼働が重要な課題となっていました。

特にファッション・ライフスタイル領域のメディアでは、画像を含むコンテンツや特集ページが多く、ページ表示の快適さが読者体験を左右します。また、話題性の高い記事や企画、外部メディア・SNSからの流入により、短時間でアクセスが増加することもあります。

扶桑社様は、こうしたWebメディアを安定して運営するため、より柔軟に拡張できる基盤としてAWSを活用する方針を選択しました。

アクセス集中時にデータベースがボトルネックに

AWS移行後も、運営を続ける中で、新たな課題が見えてきました。特に大きかったのが、アクセス集中時にデータベースがボトルネックとなる問題です。

サイトの構成は、Amazon CloudFront、Amazon EC2、Amazon RDSなどを組み合わせた、一般的なWordPressホスティング環境でした。画像などの静的ファイルはAmazon CloudFrontでキャッシュし、動的なリクエストはWebサーバーで処理し、必要に応じてデータベースへ問い合わせる構成です。

通常時は大きな問題がない一方で、アクセスが急増すると、キャッシュ外の処理がWebサーバーに集中し、さらにデータベースへのリクエストが滞留する状況が発生していました。その結果、Webサーバー側でも処理待ちが増え、最終的にURL障害やサイトダウンにつながるリスクがありました。

障害調査を通じて、Webサーバーの負荷が高くない場合にもURL障害が発生していることが確認され、データベースのパフォーマンスが課題であることが明らかになりました。通常時のDB負荷は低い一方、アクセス集中時には大きく上昇し、障害時にはCPU使用率が高止まりする状況も確認されています。実際に、月に複数回、データベース負荷に起因するとみられるサイトダウンが観測されており、読者の閲覧体験を損なうリスクがありました。Webメディアにとって、アクセスが集中するタイミングでサイトを安定して表示できないことは、カスタマーエクスペリエンスの低下だけでなく、記事・特集・広告施策の機会損失にもつながりかねない重要な課題でした。

Amazon Aurora Serverless v2への移行で、負荷変動に対応しやすいDB基盤へ

こうした課題に対し、NHN テコラスはデータベース基盤の見直しを提案しました。検討されたアプローチは、SQL文の改善と、データベーススペックアップの恒久化です。

ただし、WordPressで発行されるクエリの最適化には制約があり、SQL文の改善だけで根本的な解決を図ることは難しい状況でした。そこで、アクセス集中時の負荷に対応するため、Amazon RDS for MySQL 8.0からAmazon Aurora Serverless v2への移行を行いました。

Aurora Serverless v2は、データベースの負荷状況に応じてキャパシティを自動的に増減できる点が特徴です。常時高い負荷がかかっているのではなく、突発的なスパイクが発生するWebメディアにおいて、必要なタイミングでリソースを拡張できる構成は、課題に合った選択肢でした。

アクセス集中を事前に正確に予測することは難しく、固定的なサイジングで障害リスクを抑えようとすると、通常時には過剰なリソースを抱えることになります。それでも、想定を超えるスパイクが発生した場合には障害リスクを完全には排除できません。そこで、負荷に応じて自動的にキャパシティを調整できるAurora Serverless v2を採用することで、突発的なアクセス増加に対応しやすいDB基盤を目指しました。

移行後は、アクセス集中時にもオートスケールで対応しやすくなり、これまで必要だった事前の手動スケールアップを減らすことができました。当社の振り返りでも、アクセス集中に耐えやすくなったこと、事前プロビジョニングが不要になったことが成果として確認されています。

一方で、Aurora Serverless v2はコストやパフォーマンス分析、ACUの設定など、運用上の考慮点もあります。コストは従来より上がったものの、扶桑社様ではWebメディアの安定稼働を重視し、性能・信頼性を優先し、安定稼働を重視した基盤改善を選択しました。

AWS DMSの活用と負荷試験の実施により、リスクを抑えて移行

データベース移行では、AWS Database Migration Service(AWS DMS)を活用しました。AWS DMSにより、既存DBから新DBへデータを移行し、DBエンジンの変換やバージョンアップを含む移行を進めました。

移行対象は、ステージング環境と複数の本番系環境を含む3環境です。まずステージング環境で移行を行い、動作確認と負荷試験を実施したうえで、本番環境へ展開する流れを採用しました。これにより、本番移行前に性能や挙動を確認し、移行リスクを抑えています。

負荷試験には、AWSが公開している「Distributed Load Testing on AWS」を利用しました。ステージング環境上で新DBに対する負荷試験を行い、性能、ボトルネック、アクセス処理の最大値、スケール速度などを確認しました。

本番移行では、データ整合性を確保するために一時的にアプリケーションを停止し、DBエンドポイントを切り替える手順を取りました。作業全体は1〜2時間程度を想定し、サービスのダウンタイムが発生するのはエンドポイント切り替え時の数分程度とされています。

このように、NHN テコラスは単にDBを置き換えるのではなく、移行計画の策定、ステージング環境での検証、負荷試験、本番切り替え、切り戻し手順の準備までを含めて支援しました。アクセス集中時の障害リスクを抑えながら、運用に耐えるDB基盤へ移行することが、今回の取り組みの中心となりました。

継続的な改善を通じて、アクセス集中に強い運用へ

Aurora Serverless v2への移行により、扶桑社様のWebメディア基盤は、アクセス集中に対応しやすい構成へと改善されました。当社内のモニタリングでは、URL障害やサーバーエラーは確実に減少していることが確認できています。

NHN テコラスは2017年から、扶桑社様のAWS基盤を継続して支援してきました。アクセス増加が見込まれるタイミングでの事前対応や、障害発生時の調査、データベース改善の提案など、サイトの状況に応じた柔軟な技術支援を重ねてきたことが、長期的な関係につながっています。

今後の課題としては、さらなるオートスケール化、CMSのアップデート、ミドルウェア更新、OSサポート期限を見据えた新OSへの移行、環境の複製などが挙げられます。長期運営されているWebメディアだからこそ、現行環境を安定して運用しながら、将来の更新や刷新にも備えていく必要があります。

媒体運営において、インフラは読者の目に直接触れるものではありません。しかし、ページが快適に表示され、アクセス集中時にもサービスを継続できることは、Webメディアの信頼性を支える重要な要素です。

扶桑社様は今後もAWSを活用しながら、長期運営するWebメディアの基盤改善を進めていきます。NHN テコラスは、そのクラウド活用を支えるパートナーとして、継続的な運用改善を支援していきます。

公開日:2026年6月8日

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株式会社扶桑社について

雑誌・書籍・ムックの発行を中心に、ライフスタイル、ファッション、料理、小説など幅広い分野でコンテンツを展開する出版社です。紙媒体で培った編集力を活かし、Webメディアでの情報発信にも取り組んでいます。

社名
株式会社扶桑社
内容
出版事業(定期雑誌、書籍・ムック)、デジタルメディア事業、イベント・広告事業
設立
1984年
従業員数
125名(2026年6月1日現在)

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